※このコラムは2001年に書いたものです。インターネットの状況は、この数年で一変という感じですね。暇を見て更新して行きたいと思います。(24 May 2003)
インターネットゆかりの地、シリコンバレーにいてインターネットをやらないというのは、札幌に行って時計台の前で記念写真を撮らない、もしくは、大阪に行って通天閣の望遠鏡を使わない、浅草に行って花やしきのジェットコースターに乗らないようなものです。ここでは、いろいろな形態のインターネット常時接続サービスを紹介します。

● ケーブルインターネット
ケーブルテレビの通信回線を利用したインターネット接続サービスです。少なくともケーブルTVが利用できるエリアでないとお話になりませんが、ケーブルTVが見れるからと言っても、インターネットサービスのエリア内とも限りません。実際に利用エリア内かどうかはサービス会社に問い合わせるしかありません。回線速度はDSL回線より早いのですが、混雑時の速度低下も顕著で、ピーク時は、モデム以下の速度になったりもします。また、電話会社ではなく、ケーブルTVの一環のサービスと位置づけられているからか、回線ダウンも気軽にされてしまいます。ホームオフィスで利用されている場合は、ダメージ大ですね。仕事になりません。一時期は1週間程度断線状態だった経験もあります。(うちのエリアだけのようでしたが)
インターネットに繋がらない場合、自分のパソコン側の問題なのか回線の問題なのか悩む事がありますが、サポートセンターに電話しても、先ず最初にパソコンのせいにされがちです。ここで、余計な時間を費やすよりも一旦電話を切り、再度サポートセンターに電話を掛け直して、3回くらい、違う人に聞いてみると良いかも知れません。私の場合、2回目で自分のエリアがダウンしているという事が確認できました。最初の担当者は、確認もせずに、回線は大丈夫だと言い切っていたのでした。さすがアメリカの電話窓口。渡米して間もない頃にはさんざん振り回されましたが、慣れてしまえば、使えない担当者とは手短にして一旦電話を切って掛け直す (大抵、別のオペレータに繋がります)というテクニックを身に付けました。

シリコンバレーエリアでのケーブルインターネットサービスを提供している会社は以下の通りです。

AT&T@Home

導入までの期間は約1週間。(申し込み時期によって変わるかも)
ケーブルモデム貸与。
固定IPあり(最近はDHCPになったとかならないとか。1年前には、追加マシン分の固定IPももらえたので、それぞれサーバが立てられましたが、先日、追加を請求してみたらDHCPでした)
最大パソコン3台まで接続可能(2台目以降有料)
通信速度 下り 最大5Mbps 上り 128kbps

※エキサイト・アットホーム社は、2001年9月に倒産しました。トホホ。(2003.5.24追記)
 

● DSL
電話回線を利用したサービス。既存の電話回線と共用で利用できるので新たに電話回線を引く必要はありません。その代わりにスプリッタと呼ばれる電話とインターネット回線を分離するコネクタが必要になりますが、それはサービス業者から提供されます。DSLもサービスエリア内かどうかを問い合わせる必要がありますが、ISP(インターネットプロバイダ)が回線を持っている訳ではありませんので、むやみにあちこちのISPに問い合わせるのは無駄です。ISPは通信業者のリセーラと考えてください。通信業者のサービスエリア内かどうかが重要になります。
シリコンバレーで、回線を持っている会社はコーバッド(COVAD)リズムズ(RHYTHMS)パシフィックベル(Pacific Bell)アースリンク(Earthlink) の4社です。その他の様々なISPは、この4社の回線の代理店的存在になります。
ちなみに、2001年の3月に回線会社のノースポイント(NorthPoint)が倒産していますし、パシフィックベル以外の回線会社も経営は思わしくありません。需要は衰えるところではなく、増加の一途を辿っていますが、安値合戦で共倒れといった状況ですね。しっかりして欲しいものです。
DSL回線の種類には、IDSL、ADSL、SDSLとあって、IDSLは日本のNTTがやっているISDNと同様のものです。回線速度は上下ともに128kbpsです。ADSLというのは、ケーブルインターネットのように、上りと下りの速度が異なる(非同期)回線です。上りというのは、自分のマシンからのアップロード(発信)速度、下りはダウンロード(受信)速度です。インターネットでブラウザにていろいろなホームページを閲覧するのは下り速度が重要です。また、自分でサーバーを持ち、情報を発信する人には上り速度が重要です。ADSLは、主にブラウザで閲覧する利用者向けのものです。SDSLは、上り下りの速度が同じ(同期)なので、サーバを立てたい人向けのサービスです。
ADSLでは、最近は固定IPではなくDHCPになる傾向になっています。SDSLは基本的に固定IPが提供されます。
初期費用にはDSLルータが必要ですが、買い取りの場合と、貸与の場合の両方がありますので、確認したほうが良いですね。購入の場合、初期費用が $200〜$500くらいは高くなります。
導入までの期間は、申し込みから1ヶ月から1ヶ月半くらいは見ておいたほうが良いです。工事の立ち会いは不要な場合が多いです。DSLモデムはUPSなどで郵送されて自分で接続し、回線接続日から利用可能になります。
また、どうしても工事をしてもらいたい場合、有料のオプションで対応しているようです。

 

● ワイヤレスインターネット <携帯型>
携帯電話のように無線でインターネットに接続するサービス。ノートパソコンに携帯電話を接続してインターネットするようなものですが、ここでは、あくまでも常時接続の紹介ですので、携帯電話の接続はまたの機会にするとしましょう。
無線接続サービスは、リコシェ(Ricochet) が提供しています。インターネット常時接続のなかでは、一番早く接続可能状態になります。ワイヤレスモデムを購入(約$99)する必要がありますが、このRicochetのWeb通販での購入時にオーバーナイトオプションで配送希望すれば翌日には手元に届きます。モデムが届いたらそのモデム番号とともに、Web上でサービスに加入します。で、1時間以内にアクティベートされますから、それ以降は常時接続です。ちなみにRicochetは通信サービス会社なので、ここと契約しているISPが数社ありますので、そのどれかを経由して加入するとこになります。
月額固定で使い放題、利用料金は約$80とちと高めです。固定IPオプションもありますので、モバイルサーバにチャレンジしてみるのも良いかも。
通信速度は下り128Kbps 上り64Kbps
サービスエリアは、全米14の大都市をカバーしています。
加入には、携帯電話と違い、SSN(ソーシャルセキュリティ番号)は不要で決済用のクレジットカードさえあればOKという手軽さです。走行中の車でもネットサーフィンできました。ただ電波は携帯電話よりかなり強力なようです。近くのスピーカが、がりがり反応します。電磁波が凄そう。それと、何かのタイミングで接続が切れるのが玉に瑕です。

Ricochet GT Wireless Modem (写真右)
ワイヤレスインターネットモデム。購入価格は$99。USBインタフェースを備えています。USBの横にある右下の小さい黒いぽっちのコネクタはACアダプタに接続し、バッテリも内蔵しているので、充電時に差し込みます。フル充電状態で、最大6時間もつようです。上部にスイッチがあるのですが、オン・オフともに2秒間程度押し続けないといけないのが使いづらい。電源ON中はLEDがフラッシュ式に点滅します。緑の場合は未接続状態、赤いフラッシュの時は接続中ということを示します。右のサイドにアンテナがありますが、立てても立てなくても変わらない感じです。
サイズ:L 5", W 3.91", H 0.91"
重量:7.9 ounces

※残念ながら、このRicochetは、2001年8月に倒産(Chapter11を申請)しちゃいました。過大な設備投資をしたが、料金が高くて利用者が思うように加入してくれなかったのが原因でした。(日本でこれと同じサービスだと、DDIポケットのAirH"の 「128kパケット&つなぎ放題」がありますが、8,430円です。ほぼ同じくらいの料金の月$80が高すぎると考えてしまうのは、安価主義のアメリカらしいのですが)しかし、現在、デンバー等の一部地域で試験サービスを開始、近い将来、復活する兆しが見られていますので、シリコンバレーでも再開が期待できますね。再開したらIP電話を繋げてIP移動電話として使うのも良いですね。(2003.5.24追記)

● ワイヤレスインターネット <据付型>
無線でのインターネット接続サービス。Sprint Broadband Direct 専用アンテナ(約$600)をMicrocenterなどのパソコンショップで購入して、それを自宅の屋根やベランダなどに取り付ける必要がありますので、大家さんに了解をもらっておかないと痛い目に会います。毎月の利用料金は$49.95ですが、通信回線は早く、下り512Kbps〜1.5Mbps 上り 256Kbps です。DSLのエリア外の場所にある人々の最後の砦と言えます。山の上に一戸建てを購入したとか、別荘でも高速インターネットをしたいとかいう方にはもってこいのサービスです。

※このワイヤレスインターネット<据付型>は、通信方法で大きく分けて「サテライト(衛星)」と「ワイヤレス」があります。衛星インターネットサービスは、DirecTV系のDIRECWAYがあります。衛星インターネットの通信方式をさらに分類すると、ワンウェイとツーウェイがあって、ワンウェイは、下りのみ衛星から受けて、上りは電話回線を利用するもの。ツーウェイは、上下ともに衛星を利用するものです。
ワイヤレスインターネットは、基地局からの受発信になるのでカバーエリアは狭くなりがちです。GATE SPEEDに連絡し、テクニシャンがサンノゼの我が家に来て利用可能かどうかを測定してくれたのですが、丘が邪魔で受信不可能ということでした。
基地局のアンテナと利用者のアンテナが直線となる場合しか利用できないようです。視界が遮られる場合は諦めるか、他の会社を探すしかありません。(2003.5.24追記)

なかなかどうして日本も凄いぞ!東京編

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